40TH ANNIVERSARY AUCTION

LOT 113

川合 玉堂

花咲久水車場

JPY 1,500,000 - 2,500,000
HKD 76,000 - 126,600
USD 9,700 - 16,200
技法 紙本、彩色
サイン 右下に落款、印「玉堂」
軸装
サイズ 41.2×58.9 cm
制作年 昭和27年 (1952)
鑑定書 共箱、東美鑑定評価機構 鑑定委員会 鑑定証書付
文献 河北倫明監修『歴史を築いた日本の巨匠[Ⅱ]  川合玉堂<下巻>』 美術年鑑社、1987年、P.203 №2

HIGHLIGHT

本作は、梅の花薫る長閑な田園風景である。樋を流れる水は画面を横切り歯車に落ちる、今にもリズミカルな水車の音が響きわたるようである。向こう側には鍬を持ち田畑を耕す人物。穏やかな時間の流れを感じさせる。川合玉堂は、昭和19年、住み慣れた牛込若宮町から奥多摩に疎開し、終戦後も奥多摩の暮らしを気に入り、御嶽駅(現東京都青梅市)のそばに茅葺の民家を借りて「偶庵」と命名し永住の地とした。母屋の玄関には「偶庵」の扁額(木製の額)を掲げ、庭には裏山から水を引いて水車小屋を造り「車(しゃ)舞車(ぶしゃ)舞(ぶ)」の札を下げていた。これは、水車のまわる音を見事に洒落たもの。玉堂は水車が好きで、好んで画材にし、すばらしい作品を数多く遺したと、玉堂門下の鈴木有哉は語っている。また、「和歌、俳句の堂に入った作風は世人の知るところですが、洒脱な師は客と対座して軽妙な洒落を放ち、主客とともに呵々大笑されるのを楽しみにしておられました。」(「玉堂先生の洒落」川合玉堂 下巻、 美術年鑑社、1987年より)と述懐している。穏やかな山間の暮らしの中で画境に挑む仙人のような風貌の画家が、日々の暮らしにユーモアを求めてとは意外でほほえましいエピソードである。終戦後しばらく経った頃の水車小屋風景。時代の歯車を回すような水車小屋の絵はこの時期に盛んに描かれており、人気のあるシリーズの一つである。梅と水車の組み合わせはあまりなく珍しい構図であり春の華やぎを添えている。

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