40TH ANNIVERSARY AUCTION

LOT 201

草間 彌生

天駆ける心

JPY 30,000,000 - 50,000,000
HKD 1,519,800 - 2,532,900
USD 193,900 - 323,200
技法 アクリル、キャンバス
サイン 裏面にサイン、タイトル、年代
額装
サイズ 45.0×37.5 cm
制作年 1987
鑑定書 草間彌生作品登録カード付

HIGHLIGHT

1957年に渡米するとネット・ペインティングや白い布製の突起物をソファーやテーブルに付着させたソフト・スカルプチュア、また絵画や立体作品だけでなくヌードモデルを使ったハプニングと称される公共空間で行われた過激なパフォーマンスを実行し、1960年代には「前衛の女王」と呼ばれるようになる。しかし、1972年に最愛のパートナーであるジョセフ・コーネルが死去。体調を崩した草間は1973年に日本に帰国するが翌1974年、絵が好きだった父も他界。さらに保守的な日本では、ニューヨークでの活動は非難の的となりスキャンダラスに報道される。草間にとって70年代は不遇の時代となり、精神病院への入退院を繰り返しながら、小説、詩、自伝にも取り組むようになる。この時期に制作されたのが一連のコラージュ作品である。植物の種や昆虫たち小さい生物などのモチーフを扱ったもので、「きみは死して今」、「魂の墓石」など生と死のサイクルを描いた詩的で精神が色濃く反映された作品群が制作された。その後、1980年代から90年代にかけて、草間の作品はニューヨークで再び脚光を浴びるようになり活躍と成功を築き上げていく。この頃の草間は自身の作品ともう一度向き合うようになり、徐々に明るく生命力のある作品を制作する。絵画、彫刻、インスタレーションにおいて水玉、ネット、突起などのモチーフを大胆に再構築し、具体的なイメージと組み合わせて色彩豊かで現在の作品の根幹となる作品を次々と生み出した。この頃の作品が現在の作風にみられる色彩豊かな草間作品の原点である。1987年に制作された『天駆ける心』は、彼女の本質的なモチーフである有機的で波打つ形態で躍動感があり、力強い作品である。ドットを背景として、しなやかな輪郭、うねりのある曲線、優美な流れを特徴とし、有機的な生命の本質を模倣している。これらは成長、活力、そして存在を定義する永遠のサイクルの明確な印象を生み出している。1987年は国内初の大規模回顧展を北九州市で開催した年であり、この時期の作品は特に芸術性にすぐれており、生命力に満ち溢れている。

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