京都に生まれた浅野竹二は、京都市立絵画専門学校で日本画を専攻、土田麦僊率いる「山田塾」に入塾し、国画創作協会展に出品するなど日本画として活躍した。31才のころより木版画の制作をはじめ、小林清親の「東京名所」に触発され日本各地の名所や行事などを題材にした「名所絵版画シリーズ」をてがけ、一方で自由な表現のもとに創作版画を制作した。アメリカの具象画家ベン・シャーンは1960年に来日した折、浅野のアトリエを訪ね、自由な想像力と非常にモダンなフォルムの大胆さを繊細な手技の巧みさに結びつけていると高く評価されている。自画、自刻、自摺りにこだわり、画壇から一線を画し独自の世界を貫いた創作版画は完全な抽象ではなく、鳥や虫や魚、馬、人物などをデフォルメして多彩なイメージを作り上げている。