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LOT 197

徳化窯観音坐像

JPY 1,800,000 - 2,800,000
HKD 91,900 - 143,000
USD 11,800 - 18,400
サイン 背面に印銘
サイズ h21.2×w14.1×d12.8 cm
鑑定書 識箱 貼札「黒川博士先生恵存 陳璧君敬贈」

HIGHLIGHT

徳化窯白磁観音坐像は、単なる芸術的価値を体現するだけでなく、特異な歴史的背景と文化的意味合いを含んでいる。作品は、汪兆銘のご夫人陳碧君氏が日本医学会会長、医学博士の黒川利雄(1897-1988)氏に、汪兆銘が危篤に陥った際に黒川博士が彼を救ったことに対する感謝として贈られたと伝わる。白磁観音坐像の収納箱の外題には「黒川博士先生恵存 陳璧君敬贈」の貼札が付いており、また、ロット196の徳化窯手桶も箱書などは付属しないものの、黒川博士の旧蔵品であったと伝わる。この観音像は、特定の歴史的時期における日中両国の文化的な象徴といえ、歴史的価値と象徴的意義を備えている。汪兆銘(光緒9・1883年~民国33・1944年)は中華民国の政治家。字は季新、号は精衛、中華圏では「汪精衛」と呼ばれる。1940年3月に南京に日本の傀儡政権を樹立したため、日中の歴史において複雑で論争の的となる中華民国の政治家となった。彼の政治的経歴は物議を醸したが、このコレクションは黒川博士の個人の旧蔵品として、中日の文化交流の複雑さを理解するための独特な視点を内包している。徳化窯は中国福建省に由来し、宋代から白磁で名を馳せ、明・清時代には特に繁栄した。徳化白磁は、その釉薬の白さ、繊細な質感と玉のような光沢から「東洋の象牙磁器」として知られている。徳化窯の仏像、特に観音像は、精緻な彫刻技法と神韻によって非常に高い芸術的価値がある。この観音像は、精巧な彫刻が施され、慈悲と安寧の表情を見せており、目を閉じながら静謐で慈愛に満ちた様子が表現されている。全体の造形は端正で、プロポーションが均整を取れており、磁器の質感は温かく、釉薬の表面は滑らかで、東洋の美学における荘厳さと優雅さを体現されている。

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