技法 | 被せガラス 酸化腐蝕彫り ランプ金具付 |
サイン | 器腹に陰刻銘、高台に「A MONSIEUR EMILE THOMAS SES AMIS ET COLLABORATEURS 1891-1931. (エミール・トーマス氏へ その友人と協力者たちより 1891-1931)」の記載 |
サイズ | h60.7×w29.5×d23.8 cm |
鑑定書 | 西洋美術商協同組合鑑定書付 |
本作品は、フランスの産業革命を支えた鉄鋼業への賛美として作られたと考えらる。
表面には工場で働く人々、裏面には輸出入を支える港が、h60cmの迫力のある花瓶に描かれている。口部分には、文化と工業化の両立を表すように世界の名所が描かれ、その両方でのフランスの成功を讃えているようだ。
被せガラスに酸化腐蝕彫りというシンプルな技法だが、その細部の彫りは非常に繊細かつ複雑で、酸化腐蝕彫り作品の中では最高峰の出来といっても過言ではない。
18世紀後半、イギリスで産業革命が始まり、生産活動が農業から工業へ移行した。 一方、フランスは少し遅れを取り、1830年代から産業革命が進展。そこでナポレオン3世は、保護貿易から自由貿易への転換が必要と考え、1860年に英仏通商条約を締結し、関税引き下げや輸入禁止措置の撤廃を行った。その結果、技術革新や鉄道・通信網の整備が進み、1860年代にフランス産業革命は完成。ナポレオン3世は、1855年と1867年の万国博覧会を通じて産業の進展をアピールした。