技法 | 被せガラス 酸化腐蝕彫り |
サイン | シェードと脚台に陽刻銘 |
サイズ | h60.2×φ46.2 cm |
鑑定書 | 西洋美術商協同組合鑑定書付 |
文献 | Alastair Duncan and Georges de Bartha, Glass by Galle p.153 No.214、 同意匠作品:由水常雄著 『アール・ヌーヴォーのガラス』 淡交社、1983年、p.258、No.654 |
光を灯すと燃え立つように咲き誇る牡丹の園が一面に広がる豪華絢爛なガレの大型ランプ。ガレは様々な大きさでランプを制作しているが、その中でも笠φ46cmにもなる堂々としたサイズの本作は最大級のものである。同型の作品にはその大きさゆえに破損してしまう例が多々見られるなか、本作は良好なコンディションが保たれており大変貴重である。
色彩のコントラストが美しい多層被せガラスに、巧みに深浅をつけた酸化腐食彫りによって大輪の花を咲かせる牡丹の花弁が幾重にも重なる様子や、力強く縦横に伸びる葉と茎を写実的に彫刻している。内被せの黄を意図的に削ることで花の鮮やかさが際立つ大変艶やかな仕上がりの逸品となっている。
また、ブロンズ製の金具の装飾はスカラベをモチーフとしていることにも注目されたい。その様子は3匹の愛らしいスカラベが牡丹の香りに誘われて葉にとまっているかのようである。ガレの動植物に対する深い愛情が窺える優品である。
2022年3月に弊社で行われたオークションにおいて同意匠作品が2,600万円で落札されている。